先進国はほとんどが死刑廃止しているというチェリーピッキングな論調


日本の左向きの方や法曹界の一部の人たちが死刑廃止を訴えている。
その主張の中でしばしば用いられるのが、世界の多くが死刑を廃止もしくは事実上執行していないという主張である。
ざっと死刑廃止している国をあげると、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、イギリス、ポルトガルと、ヨーロッパはほぼ廃止である。
アジアやアフリカは残っているところも多い。南米、北米もアメリカ以外は事実上ほとんど実行されていない。
これをもとに、G7で残っているのは日本だけで信じられないという主張である。
つまり西側の先進国としては、かくも野蛮なシステムを残しているという主張である。
ただ、この主張にはきれいにトリミングされた情報をもとに主張されていて、都合の悪い情報をどっさり棚上げしている。

いや、まず逮捕の現場で射殺してるよね?

大きなトリミングは、まずはこの情報。日本の警察は現場で射殺することはほとんどない。いったん捕まえてから、時間をかけて慎重に調べたり裁判したあと決定するわけです。
では先の先進国?はどうでしょう。もちろん相手も銃を持っている前提がありますが
発表されて調べられるものだけですが

2020年 アメリカ 946人
2017年 カナダ 36人
2018年 フランス 26人
2018年ドイツ 11人
2019人 イギリス 3人

つまり死刑はないが凶悪犯や抵抗した場合、現場の判断でそこで射殺をしているわけです。
これは死刑廃止なんでしょうか?summary execution(簡易処刑)は良くて死刑はダメなんでしょうか?
というか、日本の現場で射殺しろって事?
日本で射殺されたのは、ここ10年でたった1人である。
アメリカに至っては月に80人ほど射殺しているので、いちいち全国版のニュースにもなりません。

 

 

 

国法の話してるけど、軍法あるよね?

まず、国家が人を殺すことを悪としているが、このほとんどの国は軍を持ち軍法がある。
非常時はベーシックルールに軍法を優先し、いろんな事がOKになるんです。軍に従事して守ったり攻めたりした時に行った事は殺人ではなくなります。
もちろん軍法会議での審判もあり殺人になる場合もあります。
日本はうわべだけで軍を持たないので、当然軍法をもっていません。
この話をすると当然左向きの人は戦争反対、軍はいらない人が多いのでより拒否反応を示します。
でも、軍を持つ国の軍の人がよその国のスパイが軍備を調べているのを見つければ場合により射殺します。
それは殺人でも死刑でもないのです。軍法の範囲なんです。

死刑を廃止していない国は野蛮だという主張は、この2点をきれにトリミングして主張することでまったく説得力を持ちません。
また、アメリカのように禁固200年のような、死ぬまで刑務所確定もありません。
かなりの犯罪をおかした犯人でも最終的に出所される事もあります。

この主張が本当の意味での終身刑と、海外での現場射殺の件をいつも置いておいて野蛮だの遅れていると主張するのはどうなのかと思います。
自分の主張をするときに、チェリーピッキングしては相手を納得させるのは難しいですね。

この矛盾に答えを出さないと死刑廃止論は弱いと思います。戦争反対と同じで、軍を持つべきだと言っている人も戦争はしたくないと思っているのに、戦争をしたい人だと一方的な主張で対立構造にしか持って行けない議論の浅さが今のリベラルの弱さなんだと思う。