絵本作家の「のぶみ」の批判されてる『あたしおかあさんだから』歌詞の気持ち悪さの理由について

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おかあさんといっしょ」に出演していた横山だいすけさん(元歌のお兄さん)が歌う「あたしおかあさんだから」の歌詞に対し、いろいろなお母さんが「はぁっ?(怒)」って感じになってる事についてこの歌詞の気持ち悪さについて眺めてみた。

『あたしおかあさんだから』歌詞への批判受け、絵本作家のぶみさんがコメント 「これはママおつかれさまの応援歌」 (ハフポスト日本版) - Yahoo!ニュース

この歌詞を手がけたのぶみさんは、これまた物議をかもしだした「ママがおばけになっちゃった!」という絵本を手がけた人でも有名です。

正直炎上狙いの人です。

絵本作家のぶみのオフィシャルホームページ

ただキンコンの西野君はお笑い芸人だけに、自分をさげる事を知ってる。みんなを喜ばしてるし何もやってない連中がくさしてるだけだけど。

この人は純粋にいい事をやってると思ってるからタチが悪い。いや、あえて狙っているのかもしれない。だとしたら相当計算高いな・・・

まず「ママがおばけになっちゃった!」は全然共感できない。

今までも悲しいお話の絵本はたくさんあったが、これはそのまますぎて私は許容できない。

子供にトラウマさえ残しかねない。今までの絵本が「死」を動物や植物や静物、妖怪、怪物にオマージュしたのは、子供に過度なショックを与えないために非現実的な世界観に投影し心に直接衝撃を与えないように配慮しています。それでも子供の心に何か大切なものが心に残るようにストーリーを工夫する。
そこがクリエイティブの見せ所であり難しいところなはずです。

なので、絵本はクリエティブでないとダメなのでこの死の扱い方はまったく共感できません。

この本を読み聞かせた子供はあまりの悲しみに、もう絵本を読むのがいやだと言い出す子まで出る始末。

絵本きらいにしてどうする?

このずれた感覚が、「あたしおかあさんだから」の歌詞にはそのまま出ています。
この歌詞を見た第一印象は

勝手に感動したい大人に向けた歌詞じゃね?

という感じです。

「あたしおかあさんだから」の歌詞はこんな感じ。

一人暮らししてたの おかあさんになるまえ>
ヒールはいて ネイルして
立派に働けるって 強がってた

今は爪きるわ 子供と遊ぶため
走れる服着るの パートいくから
あたし おかあさんだから

あたし おかあさんだから
眠いまま朝5時に起きるの
あたし おかあさんだから
大好きなおかずあげるの
あたし おかあさんだか
新幹線の名前覚えるの
あたし おかあさんだから
あたしよりあなたの事ばかり

いや、仕事から「おかあさん」という苦行になったけど、子供にために我慢してるっつう事だよね?これお母さんの応援歌か?おかあさんは何かの罰か?

この歌詞に男性が参加しない状況をよく表していると言うフェミニストや、母親でない女性を軽視しているという批判も出ているが、その批判は私にはピンと来ない。

 

つまりおかあさんという生き方は楽しくないという大前提である。

もちろん短絡的に楽だなんていうつもりはない。

おめえ男じゃねえか?と言われるが、生んではいないが父子家庭で子供と2人なので、ある程度苦労はわかるつもりです。

 

 

 

腹減った子供のご飯を食べさせるのちょー気持ちいいぞ!

 まず喜びについていっさい書かれていないのが、ああこいつやった事ないんだなと思ってしまう。お腹の空いた子供に自分が作ったご飯を食べさせるのは、どんな仕事で得た満足感より自分の存在意義が認められてる気がする。

もちろん仕事に追われている時に、ご飯考えるの大変です。あんまり同じものでもダメだと思うし、野菜もたくさん食べないとダメだと思うし。
ただ間違って欲しくないのは「いい事を」をやってるのではないのです、生物学的に気持ちいいのです。子供がハフハフ食べてるとこずっと見ていたい。

子供が喜ぶところに連れていった時に、小躍りして楽しむ姿。これは例外なく頭に興奮物質が出るくらい気持ちいい。

君は自分を心の底から100%信頼してくれる人にめぐり合った事があるだろうか?

それが、どれだけ心に安定をもたらせてくれるか?考えた事があるだろうか?

それは、どんなセラピーや診療科にいっても得られない物質を脳にもたらせてくれるんです。

子供がたまにやらかす、おかしな事はダウンタウンのまっちゃんやゴットタンよりも俺を笑わせてくれる。

だっこして欲しい小さな子をだきしめると、どんないい女を抱きしめたときより気持ちいいんだ。

もちろん子供を作らない、作れない人にどうこういうつもりはない。

だけど、正直独身の人には「へへ〜いいだろ〜」っていいたい気分です。

実は顰蹙(ひんしゅく)なのであえて言ってないだけです。

もちろん腹の立つこともあるし、問題もおきる、でもスポーツと一緒で簡単にできてしまう事なんて感動しないんです。

 

過去を美談にして現実を見ていないという批判

たとえば、この記事では現実の事を書いているが、のど元過ぎた当事者は今現在の現実に当たっている人へ美談で結果良かったというべき呪いのように書かれていますが、少し頭でっかちなように思います。

のぶみに心酔している人は、なぜかれいわ新撰組の応援者のようにまったく人の話をきかずに、やたらと弱者を救済している自分を正当化する人が多いです。

そこで私は持つ違和感が次のようなものです。

news.yahoo.co.jp

 

感動ポルノって知ってますか?

いろんな人のプレゼンを動画で配信するTEDで2014年にコメディアン兼ジャーナリストのステラヤングは障害者である自分自身に他人が感動する話を求める事、感動を期待すること、それは実は見下している事ではないのか?というセンセーショナルなプレゼンで感動ポルノ(Inspiration Porn)という言葉を使った。

www.ted.com

ここ数年広告でよく使われるソーシャルグッドという社会的に評価される事を広告として利用する動きが広まっています。
LGBTなども、過度にそれに利用されているように思います。企業がイメージ向上に、それを利用する事を批判する意見も多く見られるようになりました。商業的に利用されても、お金を得ることでプラスになるならいいじゃないか?と考える意見もあり、いろんな見方がされています。

ここに感動ポルノを欲する市場があり、それに向けてコンテンツを作る人たちがいる。この歌詞と、彼の絵本に感じる気持ち悪さはそこなんです。

感動を待ってる人たちに、すこし違う感動をどう味付けして届けるかがパッケージされたもののような気がします。本人は、ことある毎にピュアなだけだと言ってるようですが、このソーシャルグッドを利用する人たちと同じあざとさを感じるのです。

少なくとも子供や母親に向けてだとは思わない。

かわいそうな人をかわいそがりたい人に向けて書いているんじゃないの?

 

 

歌もそうですが、絵本は子供が無条件に引き込まれる絵本を読んで欲しい、読ませて欲しい。
絵で見て、手を動かし、声を出す。読み聞かせで耳から聞く。これが脳にいいのです。 

なにもわざわざ、彼の絵本を選ばなくても世の中には、たくさんたくさん、いい絵本があるんです。

こんな絵本読んで欲しい

とにかく、わざわざこんな絵本を読まなくても世の中には素晴らしい絵本がたくさんあるんです。本屋さんや図書館で、読んで見てください。子供が食いつくはずです。

大人が思う「カワイイ」と違う価値観がそこにあるはずです。

林明子さんの絵をみてると、ほんとうに子供をよく見てるなと思う。

ぷくっとした手足、仕草、下を向いた時の横顔。気持ちが温かくなるのはイラストや漫画のようなキャラクタライズでなく圧倒的なデッサンと描画力が大事だとわかる。

不安な気持ちを連想させる色、細かい配色の気遣いや、何より線の緊張感がいい。

はじめてのおつかい(こどものとも傑作集)

はじめてのおつかい(こどものとも傑作集)

 

日本のアートディレクターの草分けである堀内誠一さんが晩年手がけた絵本です。

 悲しい話だけど心に残るとは、こういう本です。

今の日本のエディトリアルの基礎を築いた方ですね。

くろうまブランキー

くろうまブランキー

 

言わずと知れた五味太郎さんです。

 五味さんの本は何がすごいって、幼児に関して特に言葉をまだしゃべらない子がキャッキャッ楽しむのです。それは、とてもとても慎重に熟慮をかさねて作られたものなんです。

きんぎょが にげた (幼児絵本シリーズ)

きんぎょが にげた (幼児絵本シリーズ)

 

子供がかわいい絵が好きなんて、女子といえばピンクが好きと思っているオッサンと同じくらい馬鹿げた考えです。グロくて書き込んだ絵が実はすきだったりします。

 スズキコージさんの絵のクリエティビティと荒唐無稽なストーリーは圧巻です。

子供が引き込まれる事間違い無しです。

やまのディスコ

やまのディスコ

 

 

バムとケロのシリーズは、だれも死なない、だれもやっつけないのに次から次へと読みたくなる絵本ですね。細かい描き込みのディテールにはシリーズを読んでいけば意外な伏線が張られていたり、絵の中にたくさん遊びがちりばめられています。

また、中で出てくる食べ物が美味しそうです。本で読んだドーナツを作ってみたり、ガラゴという動物を実際に動物園に見に行ったり。図書館などにもあるので、いいですね。

バムとケロのそらのたび

バムとケロのそらのたび

 

 だるまちゃんとてんぐちゃんのシリーズは加古 里子(かこ さとし)こと児童文学者の中島 哲さんが書かれたシリーズですが、工学博士でありながら児童文学に貢献し菊池寛賞を受賞した文章はおもしろおかしく書かれた会話の中に深い感情の洞察が入り、すこし古い絵かなと思わないでください。すぐストーリーに子供は引き込まれます。

これも図書館にだいたいあるので、オススメです。

のぶみ氏自身が、しばしば加古さんを尊敬しているという発言をしてますが、そうだとしたら加古さんの本のどこを読んでたのか疑います。

だるまちゃんとてんぐちゃん

だるまちゃんとてんぐちゃん

 

 

ま、言い出すとキリがないんですが、ここにあげたのはド定番ばかりですね。

わざわざそんな本読まなくても、世の中には星の数ほど素晴らしい絵本がある

と思うのです。是非メディアではなく、できてば絵本専門店があればその店主に本を聞いてください。うちの近くにはおばあさんがやってる絵本の専門店があり、ずいぶんといろんな絵本を教えてもらいました。

 

後日物足りなかったので絵本紹介を追加記事書きました。

jinkosky.hatenablog.jp