ローカル社長が「いい人材が見つからない」といつも飲み屋でいってるのを聞いて、違うんじゃね?と思ってる事
中小や零細企業の社長と時々話をさせていただく時がある。ご本人は馬力もあって、それなりの売上げで会社を維持している。才覚もあり、ある意味嗅覚がすぐれていたり、また人の懐にはいるのがうまかったりなにがしかの秀でたスキルを持っている。
ただ、そういう社長が飲みにいったり、飲み屋で会うといつも言う「いい人材はいなくし、すぐやめるので事業が展開しない」という判で押したような話を毎度聞いて思っている事がある。
数人の従業員でワンマンでやっていて、メルセデスやレクサスあたりに乗れて、近所の飲み屋では少しいい顔ができる。キャバクラで社長なんて呼ばれてね。
こういう社長が会社を大きくできない理由はいくつかあるが、いつも話を聞きながら思ってる事を書いてみようと思う。
他人にまかせれないから人が増えない
わりかし、俺は気合いが入ってるタイプに多いが自分が気に入らないとダメなので仕事を人にまかす事ができない。自分のスタイルでないと気に入らない。俺と同じ事をなぜできない?だからダメだ!と言う。当然だが1人のキャパは限界があるし。アイデアも限界がある。(自分+雑務)の形式の会社しか成り立たない。
そして口癖は「いい人材がいない」である。
クローン人間じゃあるまいし、人はみな違う、それを受け入れる度量がないだけ。
自分の考えも理解してくれないけど、自分じゃ思いつかない事もやってくれるかもしれない。自分じゃ苦手なタイプの人ともコミュニケーションを取ってくれるかもしれない。それをイメージできない。そこまで我慢できない。
で、気に入らない事はすぐ切れてしまう。
自分のようにできない=仕事ができない、と判断する。
それじゃ従業員はやめちゃうよね。
せまい仲間内で価値観を共有してしまう
もっとビッグになりたいと言ってるわりには、小金持ち同士でつるんで価値観を共有する。なので、外注業者と話していても自分の専門外の事になると、知り合いのだれだれから聞いた、だれだれがこう言っていた。という無責任な話に右往左往する。
外注業者がいやいや仕事をしたら結局その人のためにならないので、そこは自分が何を目的に注文しているのかがブレては意味がない。
目先の損得にとらわれて、ずれたものしか作れない事が多い。いくら安くデザインをあげても、元々人の目をとめるために作ってる広告物なんだから目にとまらなければいくら安くても意味が無い。なぜか、とにかく俺は騙されないぞオーラがすごい。業者側からしたら面倒なだけなので、フルパワーを発揮する気にならず、とにかく無難にこなしてしまう。
ただ、元々指示がいろんなところのアドバイスを精査できずに投げ散らかしてるので、情報が整理されているわけでもなく、プロのアドバイスも「俺もカモにならない」マインドがすごいので聞いていない。結果よくわからないものができ上がる。
妙に自分の価値観に自信を持っている
お医者さんなどに多いのだが、お金持ちなのでいろいろなところで持ち上げられ自分の審美眼やセンスに異様に自信を持っている。
教養もあって金にまかせて海外旅行にもけっこう行ってるので「俺はデザインセンスなんかや色にはけっこう、うるさいんだ」などと言い出す始末。家や事務所、診療所にけっこう高い絵が飾ってたりしたら黄色信号だ。
だいたい、こういう人の家は金がかかっているわりに中途半端な欧州風でくそダサかったりする。豪邸拝見で見る、やたら高い物が揃ってるのになんでこんなごちゃごちゃしてるの?ってやつ。レイアウトの引き算ができない。
こういうお客さんは知的なアプローチに弱いので、よくSEO屋やへっぽこ情報サイトの広告屋にだまされて小銭をまきあげられている。2ブロックでスーツ着た人が、パワポで資料持って来てKPTがどうのとか、ペルソナがどうのと言われると弱い。
個人としてはお金持ちかもしれないが、そもそも企業とはバジェットが全然違う。
地元の健全なフリーランスや小さなデザイン事務所とヒザを詰めて仕事をすればいいのにといつも思う。ただ「先生レベルになると」なんて言葉に実はけっこうコロっといかれる。その昔問題になった、ホームページのリースなんかもけっこう医者が多い。
同じくらいの医者の、あそこではこれくらいやられています、という煽りにもすごく弱い。見栄っ張りが多いからね。
会社は社会資産だという意識がない
株式会社はなぜ法人という、個人とは違う「人格」を作るのか。個人事業とは違い、たくさんの人を雇い多くの税金を納め、たくさんの社会保険を納めているのはそれだけで社会を一翼を担っている価値があるのです。
それだけの人の生活を支えているのですから。
そこの価値を見いださずに、とにかく税金をなるだけ払わずに、従業員は安く使って。自分は飲みに・遊びに・車に・というようなスケールの小さな価値観の人が散見する。
そんな会社の社員が長く続くわけがない。でことあるごとに「仕事覚えたと思ったら、すぐやめるんだよ、ったく最近の若いもんは...」というセリフ。
「ほんとよね〜」なんて言ってくれるのは、あなたが常連の飲み屋のおねえさんだけですよ。なんだったら、そのお姉さん達も帰った後に「小さい男だわ」と言ってるかもしれません。
若い子もバカじゃないので、何年か働いたらその会社の伸びしろくらい見えますよね。
それと、そんな事言ってても若い子のマインドが変わるわけじゃないので、時代がかわり対象が変われば適切な対処方を考えるのも経営者の才覚ではないのですかね?
時代の価値観が変わったならやり方も変えないと。
若い子の考え方のほうが合理的で社会全体が右肩上がりでないのなら、伸びしろのない会社で我慢している時間はロスと考えるのは、とても正しい考え方だと思います。
妙に張り合ってしまう
とにかく過小評価が大きらいなので、やたらと張り合う。同じ業種の少し大きな会社と「うちはここあたりとほぼ同じだ」と言うのである。
そのたび「ほぼ」って何だよwって思って聞いています。
あきらかに規模も違うし、コンシューマーの認識も違う。同じ土俵に立って話できるものでもないのに、最初にそんな風に言っちゃって引っ込みつかなくなるから途中から色々なところで話がおかしくなる。
だって結局は予算が半分だったりするわけだから。
ただ予算が半分だからいいものができないわけでは決してない!
最初のアプローチを間違ってはいけない、予算がなければないでアイデアの出し方があって、責め方(戦法)が違うのである。
一番間違っているのでは倍の予算と似たようなものを半分の予算で作ろうとする事。
これが、たぶん一番残念な結果になる。
よくあるでしょ?お店の内装なんかで「あ〜あういう風にしたかったんだろうけど予算が足りなかったんだろうな〜」の残念感。絶妙な詰めの甘さ感。
それなら最初から打ち出しのコンクリに中古のテーブルでもシャレた感じにする方法はあるよね?でも最初のアプローチを間違って俺がヨーロッパに行った時にイタリアの老舗のカフェに感動したからと言ってマホガニーのテーブルを合板でそれ風に作るとかが残念な事になるんですよね。
そこは俺のこだわりだ!って言っちゃったりしてね。
そこはデザインーに予算はこれだけで、なんかいい感じにする方法ない?ってやったほうがデザイナーは勝手に頑張っちゃたりするんだけどねー
逆に関心した人
まあ、くさしてばっかりでもあれなんで、すごい人だな〜という人も。
特に会社を大きくする気のない人もいる。業種的もそれ以上の規模は適正でないような会社でである。
そういうところでキチっとした経営をされている社長さんは、すごく腰が低い。
だがその腰の低さが、ある意味恐い。
建築関係の元ヤンの巻き舌の社長よりも全然恐い。
すごく誉めるのがうまい。仕事にきちんと感謝してくれる。
だからと言って、こちらが気になっているところはちゃんと突いてくるし、こうして欲しいというところはきちんと言ってくる。
タフネゴシエーターである。
あと支払いもきちんとしている。ただそれなりの事は求められる。
支払いを人質にようにして仕事を進める社長は、あまりずっと続いているのを見た事が無い。
そして僕はそういう事知らないから・・と言いながら、きちんと勘所はおさえている。隠れて勉強しているのではない、にわか知識でもない、自分の知らない事を勉強するのではなく、どこがこの仕事の大事なポイントかがわかっていて、自分がどこに関わるべきかがわかっている。
緊張感があるが、こういう人とたくさん仕事をしたいと思わせてくれる。
例外なく、こういう会社にいくと社員さんもきちんと挨拶するし仕事ができる人が多い。
最後に
まあ、半分愚痴のようなものもあるが
私は小金持ちくらいが一番幸せにそうに見えるので、それはそれで正直にやればいいのにな〜と思うんですよ。
出入りの業者さんに「うちは小さいからあそこみたいな予算がだせないけど、ゲリラ的な面白いアイデアない?」てな事聞くと意外といいと思いますよ。
これに引き続く事も書きました。