高額がん免疫治療薬「オプジーボ」、50%の緊急値下げを中医協了承

最近は、そのあたりの兄ちゃんが適当に書いたキュレーションのニュースサイトが多くて閉口する。バズプラスニュースも、その一つだがこんな記事が掲載された。
すごく拡散されて、数字だけが一人歩きしている。
まるで癌患者が日本の保険制度を疲弊させているような批判記事だ

【衝撃】ガン治療の革命的な特効薬ニボルマブ / 高額すぎて年間3500万円の医療費 → 総額の95%以上を国民が負担
http://buzz-plus.com/article/2016/03/16/nivolumab/

無知を煽って、誇張を越しセンセーショナルにバズる事だけを狙った、このような記事は非常に許し難い。
つっこむところが多すぎて、キリがないが、まず「ニボルマブ」(オプジーボ)について、まず免疫チェックポイント阻害剤は、ガン治療の特効薬などではありません。

小学生か!

 

 

 

上記の内容を見ればわかりますし、アメリカの臨床の結果でも

・14.5%の人が3ヶ月以内に腫瘍が縮小した
・26%の人が症状が進行せず安定した

という程度です。画期的だという事は変わりませんが。

5%以下の自己負担ってのは、どこから出てきたんだ?
高額であるのは本当だが、一般的に保険適用されても3割負担程度のはず
金額も盛りすぎ、体重が60kgの人の場合、1回で必要な量は「180mg」で「約120万円」くらいが概算でも妥当な数字。
それが保険適用で36万くらいになる。
月一回として、確かに1000万くらいが保険負担になるかもしれない。

ただし自己負担を年間500万近く負担できる人に限られ、現在の保険は「難治性非小細胞肺がんの人」に限られるため、どうやったら年間10万人も適用されるようになるのか疑問だ。

この記事に記名もなければ、記事に出ている日本赤十字社医療センター化学療法科部長の國頭英夫のオフィシャルな記事もない。
ほんとうにこんな事を言ったのだろうか?
もしそうなら残念きわまりない。

まるで癌患者が日本の保険制度を疲弊させているような批判だ。
そこを批判するのではなく、先進国のバイオベンチャー金融商品に組み込んでファンド化し、開発された時点で高額の回収が前提となる仕組みを批判すべきでは?
しかもアメリカなどは、多くの豪腕の弁護士を多額で雇い、そのパテントを伸ばすロビー活動を全世界で展開している。

TPPで、米や農作物なんかより、こちらのほうが全然深刻な問題だが、全然報道しないマスコミはスポンサーがらみなのか?

もちろん、医療従事者や薬品開発に無償を求めるわけではない。
だがリーマンを引き起こしたクレジットデフォルトスワップやらバイオやゲノムを金融商品にするだけは、やめてもらえないだろうか?
それこそが天に唾はく行為だと思う。

それに医療費を削減するなら、そもそも薬出しても意味のない普通の風邪薬や抗生剤の保険適用をやめれば、いったい年間どれだけの医療費が削減できるだろう。
判断するのはインフルエンザかどうかだけでいい。余計な薬をたくさん出す必要はない。あと、生活保護者への無償医療もね。無償はダメだよね、金を生む錬金術になっちゃうから。

無償でもらった薬を横流しするのが問題になっている。そりゃ錬金術だわ。

 

 

そもそも保険というのは互助システムなんだから、最近はその基本的な概念もわかってない人が多い。今一度近大社会の基本の保険制度の意味を見直して欲しい。

 

その後いろいろ調べていると、そもそもの概算が間違いであると言っている記事をいろいろみかけたのでまとめてみる。

現在オプシーボが月額290万円とされる効果な理由は、患者数が少ない症例の「悪性黒色腫」の治療薬として承認されたものだからだそうだ。

薬価は原価を計算する際に作る工程が複雑であれば高くなるが、さらに適用される患者が少ないと当然1つあたりの単価が高くなってしまう。

これが「悪性黒色腫」に「肺がん」が加わった事で、対象者が年間500人程度からいっきに10倍の5万人に一気に増えたのである。
しかしこの薬価は年間500人程度の時に出された薬価であって、想定患者数が増えた場合、薬価はみなおされるそうである。

だとすると、そもそもの概算に意味が無い。

有識者の予想では最大50%以上の値下げが予想され、また単純に量産されれば安くできることもあるので、さらに価格がさがる可能性もあるらしい。

ただこれでも書いたように、老人の治癒の見込みのない延命の治療に体に負担の大きい抗がん剤を使うのは私は否定的です。

もちろん、それでも保険の多額の費用を使う事にはかわりないが、もともと保険とは互助システムなので、それが安心できる国の仕組みとしてあたりまえだと思う。

それよりも、風邪に無意味な薬を出したり、お年寄りの腰に電気を当てるような疑似医療行為に保険を使うことをやめればいったい年間いくらの保険費用が浮くだろう。

ほんとうに考えて欲しい。

 

そして、2016/11/16日付けの記事で、予想通り

オプシーボの50%の値下げが発表された。

さらに適用がすすめば、さらなる値下げも検討されるだろう。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161116-00050011-yomidr-sctch

情報は、出展を確認してから読まないといけない時代ですね。